社会福祉法人が受けられる優遇措置
社会福祉法人が土地取得を行うにあたって、様々な優遇措置が設けられています。法人に関しては、登録免許税・不動産取得税・固定資産税の減免が受けられます。
但し、それにあたっては土地を基本財産として組み入れることが必要となります。具体的には、土地を活用した事業計画の立案、適時における理事会・評議員会の決議、所轄庁による基本財産組み入れを含む定款の認可といった手続きを踏む必要があります。
売主が受けられる優遇措置 – 収用特例5000万円控除
他方で売主に関しても、所得税(譲渡所得)の優遇措置が設けられています。社会福祉法人に土地を売却する場合、収用特例と認められることで譲渡所得から最大5000万円の特別控除を受けることができます。
(計算式)
譲渡所得 = 譲渡収入 – ( 取得価額 + 譲渡費用 )
* 取得価額が、不明な場合は譲渡価額の5%
この譲渡所得から更に特別控除を受けられることになります。譲渡所得5000万円以上ならば、5000万円の特別控除をフルに享受できるわけです。そして通常(長期譲渡所得)は譲渡所得の約20%(厳密には20.315%)が税額になりますので、
5000万円 ✕ 約20% = 約1000万円
これほどの税額が少なくなり、相当な節税となります。場合によっては、このメリットを強調し価格交渉の材料として活用することも視野に入ってきます。
しかしこの多大な恩恵を享受するうえで、先述の基本財産組み入れに加え、税務署との協議を進める必要があります。その関連で、実際の取引までのスケジュールに注意しなければなりません。
具体的な流れ
- 理事会・評議員会で下記事項を決議する。
- 土地取得
- 「施設整備事業計画」
- 所轄庁に「施設整備事業計画」を提出し、その土地で社会福祉事業を行うことの確認を得る。
- 税務署との事前協議
- 事業の施行地の管轄署に「租税特別措置法施行規則第14条第5項第3号イに規程する書類の発行を予定している事業に係る説明書」を提出
- (添付書類)
- 事業計画書
- 事業施行地を表示する図面
- 施行区域内にある土地の地番等を示す図面(丈量図)及び設置する建物等の配置図
- 買取り等をする土地等の一筆ごとの明細
- 代行買収の場合は事業施工者に代って買取りをするものであることを証する書類
- 事業に要する経費及びその財源などが具体的にわかるもの 他
- ※「施設整備事業計画」と所轄庁の「意見書」もしくは「社会福祉事業に供する」取得であることを証する同等の書類を添付する。
- 税務署から「収用証明書」を発行する許可を得る。
- 土地売買契約の締結・履行。土地の所有権移転登記を実施するとともに、売主には「収用証明書」を発行する。
- 理事会・評議員会で下記事項を決議する。
- 土地の基本財産組み入れ
- 定款変更
- (必要に応じ)施設認可変更
- 前項の議事録を以て、所轄庁に定款変更認可申請を行う。認可されれば、対象の土地は基本財産となる。
- 売主は、翌年度3月15日までの確定申告において「収用証明書」を添付。所定の計算・手続きを行う。