今年2月に行った「福祉経営セミナー」から処遇改善・人件費の改定(人勧差額)に関して、その後お問い合わせや解説する機会の多い内容を3回に分けて掲載しています。
さて、今回は人勧差額の概算計算方法について解説します。
公定価格FAQによる人勧差額の計算方法をわかりやすく
まず、公定価格FAQに載っている計算方法を見てみましょう。
公定価格FAQ(Ver.23)では、処遇改善加算Ⅰの総額に人勧改定率を掛けて・・・と、この時点でなんだか直観的でなくわかりにくいと思いませんか?
そこで処遇改善加算Ⅰの賃金改善要件分に置換えて考えてみたいと思います。
処遇改善加算Ⅰの賃金改善要件分の金額は計画書等で既に把握していることが多いと思います。
であれば、初めからこの金額を使って計算すれば早いですね。
※できるだけ実績値で計算したい時は、委託費(給付費)の総括表などを参照して年間の加算額を再計算して下さい。
賃金改善要件分の加算額を加算率で割ることにより、まず1%あたりの加算額を算出します。
スライドの例では、賃金改善要件分の加算率を6%として1%あたりの加算額を求めると85万円になります。
1%あたり85万円に人勧改定率5.2を掛けて人勧差額は442万円と計算できるわけです。
いかがでしょうか?
計算順を入れ替えただけですが、わかりやすくなったと思います。
元々、公定価格における人勧改定率は処遇改善加算の単価合計の「改定率」倍となる様につくられているのです。
ということで、当社では1%あたりの加算額をまず計算する、という方法をお勧めします。
概算を暗算で計算する方法
次に1%あたりの加算額は毎年変動するでしょうか?
処遇改善Ⅰ(賃金要件分)の総額は毎年だいたい〇〇万円、という感覚をお持ちの方も多いと思います。
はい、もうお気付きかと思いますが、総額〇〇万円が毎年同規模であれば1%あたりの加算額も毎年だいたい同じになります。
厳密に言えば変動しますが「うちの園はだいたい100万円」などの感覚を持っておけば、人勧改定率が3%なら300万円、▲0.3%なら▲30万円、という具合に簡単に概算を把握することができるのです。
また、法定福利費の割合も毎年大きく変わらないと思いますので、差引後の職員支給額も1%あたりで覚えておくと便利ですね。
ご興味持っていただいた方は、一度、過去の実績報告を眺めて自園の1%あたりの加算額を調べてみてはいかがでしょうか?
当社調べですと、定員100名前後の保育園・こども園なら1%あたりの加算額は「100万円±15万円」の範囲が多いと思います。
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