定額減税
6月から開始となった定額減税。月次減税事務への対応でどの法人様も苦労なされているかと思いますが、最後の締めとして年調減税事務が待っています。
月次減税事務と同様に各職員の配偶者・扶養親族の情報把握が必要です。今回も16歳未満の方が対象に含まれます。年度途中でご家族が増えられた職員さんなど、注意しましょう。そのうえで、住宅ローン控除計算の後の手順で、(30,000円×人数)の金額を控除することとなります。
併せて、源泉徴収票(給与支払報告書)については、
- 年調を行った ➡️ 摘要欄に減税控除済額・控除外額を表示
- 年調を行わなかった ➡️ (摘要欄には何も書かない)
と、年調の有無で対応が異なる点を押さえておきましょう。
また、これはご質問いただくことが多いのですが、控除しきれなかった額がある方の対応について。残額がある場合には、翌年1月以降も月次減税事務を継続するのかとの疑問をお持ちになられる方がいらっしゃいます。しかし定額減税はこの12月までの措置です。逆に翌年1月以降は減税計算してはいけません、ご注意ください。尚、そのような方には翌年度中に市区町村から残額分の給付措置が行われる場合があります。
例年通り9月下旬頃に国税庁「年末調整がよくわかるページ」で情報提供が行われる予定です。その他の細かいルール等を含め、そちらもご確認ください。
(2024年9月26日追記)
公開されました。
年末調整がよくわかるページ(令和6年分)
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index.htm
住宅ローン控除申告書の変更(令和5年居住分から)
住宅ローン控除申告書について。令和4年居住分以前は、以下の手順(「証明書方式」)で申告書が作成されていました。
【前段階】
- 居住初年度に本人が税務署に向けて確定申告を行う
- 税務署が本人に向けて、次年分以降に使用する複数枚の申告書を交付
【年末調整時期】
- 金融機関が本人に向けて、借入金に係る年末残高証明書を交付
- 本人が、証明書の内容に基づき、税務署から交付された申告書に各種金額を記入(少々ややこしい手計算が必要)
- 本人が勤務先に向けて、記入済みの申告書を提出
これが令和5年居住分からは、以下の手順(「調書方式」)が追加となります。
【前段階】
- 居住初年度に本人が税務署に向けて確定申告を行う(これは変わらない)
【年末調整時期】
- 金融機関が税務署に向けて、借入金に係る年末残高の調書を提出
- 税務署が本人に向けて、各種金額が計算済みの申告書を交付
- 本人が勤務先に向けて、記入済みの申告書を提出
この方式の場合、住宅ローン控除申告書に係る計算は税務署がすべて済ませてくれて、また金融機関の年末残高証明書の添付・保管も不要となります。これにより事務負担・計算過誤が大幅に削減されることと見込まれます。現実問題として、勤務先が各種計算を行ってるケースも少なくないでしょうから、かなり楽になるかと思われるところです。
尚、以下の点に注意です。
- この取り扱いは令和5年居住分より後に関するものです。令和4年居住分より前については、変わらず「証明書方式」で継続となります。
- 金融機関がe-Taxへのシステム連携を済ませている必要あり。
- そのため、未対応の金融機関の場合は、令和5年居住分以降であっても「証明書方式」となる可能性あり。その場合は従前と同様に手計算が必要。
- 対応金融機関の一覧は、下記ページの通り(今後、随時更新されるであろうところ)
- https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/jutaku/ichiran.htm
以上の通り、事務負担軽減となる施策ではありますが、当面は「証明書方式」「調書方式」が混在となり、やむを得ないこととは言え、しばらく若干のややこしさが続くことになります。
簡易な申告書(令和7年分以降)
これは次年分以降について内容です。
令和7年分として提出を受ける扶養控除等申告書にも変更が加わっています。が、さて実際に令和6年分のものと横に並べてみて、変わったところを見つけることはできますでしょうか。
実は記入欄の部分をいくら眺めてみても、変わったところを見つけることはできません。変更となっているのは右端の欄外です。文言等にも変更はあるのですが、一番のポイントは『右上の部分に空欄ができている』ことです。
令和7年分以降については、「簡易な申告書」という提出方法が認められることとなっています。これは、前年度から記載内容に変更が生じていない場合には、わざわざ記入欄に細かい情報を書かずとも、右上の欄外に「前年から異動なし」と記載すれば足りるという取り扱いが可能というものです。
しかし現場事務を行う立場としては、この変更は困難を伴う恐れがあります。と言いますのも、今後の年末調整時にこのルールに則った申告書が出てきた時に、前年分の情報を掘り起こす必要が出てくる訳です。そして、複数年に渡ってこのルールが使われると、何年も昔の申告書を掘り起こすことにも…。
既にあらゆる情報を電子データで保存されていれば比較的容易かとは思いますが、紙面で保管されている場合にはうまく運用しなければ多大な苦労が想定されるところです。