R6年度人勧差額見込み(10.7%)と賃金改善実務上の留意点

R6年度人勧差額見込み(10.7%)と賃金改善実務上の留意点

こども家庭庁は11月22日「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策の重点事項」の中でR6年度の公定価格に対する人勧改定率を10.7%とする方針を発表しました。
H24年度から考えると人件費の改定部分で24.9%、処遇改善加算も加えると33.9%の賃金改善になるということですね。

ここまではご存じの方も多いと思いますので、今回は実務上の留意点を考えてみたいと思います。

(出典:国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策の重点事項、資料スライド)

R6年度の給与・賞与に含めるべきR5年度人勧差額の金額

まず初めに、R5年度人勧差額をR6年度給与にまだ織り込めていないという声もお聞きしますので、R6年度の給与・賞与に含めるべきR5年度人勧差額の金額を考えてみましょう。

一般的にはR6年度処遇改善加算Ⅰの1%相当額の5.2倍ということになりますが、ここで「むむっ」と思った方、鋭い!
実はR5年度公定価格改定において、改定後単価で5.2%相当額を計算すると人勧影響額が大きすぎるという指摘が相次ぎ、後日、調整率として0.9を掛けて計算するというFAQが発表されました。このFAQに倣い、

のどちらかを使えばよいことになります。

次に、基準年度がR4年度でない施設や、累積改定率を用いて手当や一時金を計算している場合はどうなるのか、令和6年7月版公定価格FAQ(Ver.25)に回答が追加されました。

「加算当年度の加算Ⅰの単価の合計額」
×(「基準翌年度から加算当年度までの人件費の改定分に係る改定率」×100)
×「見込平均利用子ども数」×「賃金改善実施期間の月数」
×0.9(調整率)

「基準翌年度から加算当年度までの人件費の改定分に係る改定率」の例を2つ挙げると

ということになります。

R6年度人勧差額(10.7%)についての留意点は2つ

それでは、本題のR6年度見込み改定率10.7%は

  • R6年度の各単価差額 × R6年度入所児童数
  • R6年度改定後単価とR6年度入所児童数のよる処遇改善加算Ⅰの見込み額を元に10.7*0.9で計算

のどちらか ・・・・と、言いたいところですが、実はそうとは限らないのです!

まず、改定前後の単価差額を用いる方法は、R5年度は「たまたま」単価改定が人勧影響額のみだったから差額を用いて計算できたのです。
公定価格改定には色々な要素が加味されているので、単価差額で人件費改定部分を計算できるかどうかは毎年違ってきます。

また調整率(0.9)についても、今回も改定率が大きいことから変更になる可能性が否めません。

そしてもう1つ、R6年度に処遇改善加算Ⅰ~Ⅲの「新規事由あり」に該当する施設は特定加算額にも留意する必要があります。というのも、人勧差額と違い、特定加算額の計算には改定「前」の処遇改善加算単価を用いることになっているからです。

以上、R6年度人勧改定率発表に関連して留意点をまとめてみました。

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